【森のエッセイ】No.3 山のファッション
今回はファッションの話です。
最近、ワークマンがブレイクしていると聞いてびっくりです。盲点でした。アウトドアに向ているウエアがたくさんあるし、そうか、パタゴニアもいいけど、ワークマンもありなんだ、と目から鱗です。試しにヤッケを一着買ってみました。確かに悪くない。
と言いながら、今回は僕が長く山で着て来て一番気に入っている二つのウエアの話です。
一着目。
LL.Beanのフィールドジャケット。アメリカ製です。
買ったのは30年以上前、大学2年生の時でした。そう元号もまだ昭和でした。
LL.Beanというブランド、今でこそみなさん知っていますが、当時はかなりのマニアにしか知られていませんでした。
そうです、当時の僕はアウトドアグッズのかなりのマニアでした。
今では死語ですが、アウトドア分野では、ヘビーデューティーという言葉が流行っていたんです。 ちなみにヘビーデューティーは1970年代に雑誌ポパイなどが火付け役になり、アメリカ文化の象徴として一大ブームを起こしたましたが、今思えば80年代にもその流れは受け継がれていたのだと思います。現在のアウトドア界は完全にヘビーライト時代なので隔世の感があります。
ジャケットを買ったの二子玉川の高島屋です。
アウトドア雑誌で同店で輸入されたばかりのものが並んでいると紹介されていました。そう、ヘビーデューティーはワークマンでなく、高島屋に並ぶ時代だったんです(笑)。
当時は板橋区に住んでいたのですが、はるばる二子玉川まで買いに行きました。夏休み中のバイト代のほとんどがこのジャケットで消えました。二子玉川に買い物い行ったのは人生で後にも先にもそれ一回です(笑)。
アメリカの猟師のためのジャケットで、ポケットの裏側には薬きょう(散弾銃の弾丸)を入れるゴム製のDチェーンがついています。背中側の腰部分は、ゴム引きの布が二重に折られ、袋状になっています。仕留めた獲物を入れておくためのものです。 とにかく半端ないプロ仕様で、とにかく重い。さすがヘビーデューティー。でも僕は東京で街着として使っていました。
中綿がないので、それほど温かくない。前面の開閉はジッパーでなく、ボタンなのでやたら時間がかかる、重いので肩が凝ってくる、などなど冷静に考えればかなり使いずらい。キャンパス布は極厚でこなれるまでは、ロボットのように腕を振っていました。ヘビーデューティーを着こなすのにまず必要なのは「根性」だと思いました。
(ちなみに同ブランドでは現在、同ジャケットを一般ユーザー向けに、中綿入りで使いやすいデザインに変更しています)
今思えば、ヘビーデューティーの服、ほかにもたくさんありました。僕は着てなかったですが、同世代の方は、南極探検にいくようなダウンジャケットが流行ったのを覚えている方も多いと思います。でも東京の冬ではオーバースペックで、ジャケットの下はみんなTシャツだった(笑)。
2着目。
これは14、5年ほど前に横浜で買いました。
フェールラーベンのトラベルジャケット。スウェーデンのブランドです。
同ブランドはこのころ、日本に上陸してきたと記憶しています。
そう、あのキツネのマークです。
今でこそ、ここのキャンパスバッグ(カンケン)が流行っていますが、当時はむしろウエアが中心のラインナップでした。
このジャケットは本当に使いやすかった。
写真ではボタンしか見えませんが、内部にちゃんとジッパーもあります。
ジッパーが壊れても、ボタンでフォローし、逆にボタンが取れた時はジッパーで防風できる2段構えが頼もしい。
生地はコットンなのですが、そこに別売りのグリーンランドワックスという、一見、石鹸のような蝋(パラフィン)を塗り込むのです。
塗ると真っ白になるのですが、アイロンかドライヤーで熱を加えると、それが溶けて布地に染みて、なじんでいきます。これによって通気性を保ちながらも、防水性が生まれるという北欧の厳しい自然が生んだ独自のシステム。
スウェーデンには、「悪い天候などない、悪い服装があるだけだ」という、ことわざがあります。厳しい自然環境の中で鍛えられた実用的なジャケット。ただ、残念なことにあちこちすり減ってきて、2代目を探しているのですが、いろいろ探してももう日本では売られていないようです。
ネットでもヒットしないので、本国でも製造していないのかもしれないません。 結構、ボロボロで、知らない人には、ただの汚いジャケットを着ている人にしか見えないので、今は八ヶ岳の雨具兼作業用に使っています。
キャンピンガーの中には狭いなりにもクローゼットがあるのですが、以上の2着が常にハンガーに下がっています。
0コメント